まとめ:最大手メディアから独立、第一人者が目指す新しい報道 「人材・お金・時間ない地方でもデータジャーナリズムはできる」
最大手メディアから独立、第一人者が目指す新しい報道 「人材・お金・時間ない地方でもデータジャーナリズムはできる」 「LocalFocus」共同創業者に聞く | デジタル・エディターズ・ノ記者やジャーナリストは『自分の仕事がどれだけのお金を生んでいるのか』という視点をもつことも大切だと感じました」。 - ujigislab のコメント / はてなブックマーク
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記者やジャーナリストは『自分の仕事がどれだけのお金を生んでいるのか』という視点をもつことも大切だと感じました」。
2015/10/02 22:22
地方のジャーナリストがデータジャーナリズムを実践できる未来をつくる――。
わずか5名で開発・運営されるオランダのベンチャー企業「LocalFocus(ローカルフォーカス)」が、データジャーナリズムの普及に向けて新たな風を吹かせている。 地方メディアでは人材もお金も時間もない。そんな状況でもデータジャーナリズムは可能なのか。ローカルフォーカスの共同創業者でデータジャーナリストのJelle Kamsma氏に話を聞くため、アムステルダム市内のオーフェルトーム通り沿いにある複合スペース「Bounce Space」を訪ねた。 「
ジャーナリストは新しいテクノロジーやツールを使うことで、それまでに得られなかった新しいストーリーに出会うことができる」――。ある教授の言葉がいまでも頭に残っているという
主要なメディアでデータジャーナリズムをおこなってきた一方、ローカルに目を向けたときに同じようにはできないと感じたという。
「ローカルメディアは人材もお金も時間もありません。データジャーナリストを雇えず、データジャーナリズムもできていなかったのです」。 そこで地方のジャーナリストでも利用できるデータジャーナリズムサービスを立ち上げようと思い立つ。
だれでも使えるようなシンプルさ――運営側でデータ収集・クレンジング、データベースの追加までおこなっているので、利用者はほしいデータを指定し好きな出力方法を選ぶだけでもいいし、自分でデータを追加していもいい――が高い評価を受け、先述のコンペで最優秀賞を受賞。2万ユーロ(約270万円)の出資を受けた。
ローカルフォーカスは1アカウントにつき月額79ユーロ(約1万円)で販売。
無料版は主にジャーナリズム専攻の学生やフリージャーナリストが利用している。
わずか数クリックでこのようなインタラクティブなデータを使うことができるのだ。
Kamsma氏はコンペ・起業プログラムを通じて、ジャーナリズムだけでなくビジネス面も強く意識するようになったという。 記者やジャーナリストは『自分の仕事がどれだけのお金を生んでいるのか』という視点をもつことも大切だと感じました」。
同じデータを使うにしてもデザインが異なるのだ。これによりメディア側はブランディングにつなげることができる。デザイナーや技術者がいなくても、データジャーナリズムはもちろんブランディングまで実践できるのはメディアとしてもメリットになるだろう。
Kamsma氏によれば、メディアのデータに対する姿勢は2つに分かれるという。
ひとつはローカルメディアで、まずはデータを報道に活用したいという視点。
もうひとつは新聞社や大手ニュースサイト。すでにデータジャーナリストを抱えており、政府や自治体のオープンデータを促すことに関心を寄せる姿勢
オープンデータ調査「GLOBAL OPEN DATA INDEX」(2014年版)によれば、オランダは16位(ちなみに日本は19位だ)。まだまだ十分ではない、とKamsma氏は言う。
大手メディアはスクープ報道に注力しているため、マインドがデータジャーナリズムのそれとは異なります。 新しい事実やインサイトを浮かび上がらせるデータジャーナリズムには、データの意味を理解し、美しいグラフィックで表現するだけでなく、データのなかにこれまでに浮かび上がらなかったストーリーを見つけることが重要になるからです」
データジャーナリストになるための心構え
「好奇心」と「トライ&エラー」の2点が大切
「データジャーナリズムはいわばパズルのようなもの。思ったような事実が浮かび上がらないことが圧倒的に少なく、そもそも必要なデータがないケースもあります。 新しいインサイトを発見したとしても、どのようにストーリーとして伝えていくのか。それを何度も丁寧に考えないといけません。 とても辛抱強さが求められる仕事だと思います」。